税金面の細かい規定を理解するのは頭痛の種。ここでは、新築時・住宅取得時における減税制度・省エネ住宅税優遇を表にして、できるだけ解りやすい内容にまとめてみました。
長期優良住宅の認定(施工会社を通じた申請可能)を受けると、補助金の交付を受けられる上、税制上の優遇措置が設けられています。
- 住宅ローンの控除対象借入限度額が一般住宅の4,000万円に対し、長期優良住宅は5,000万円。
- 新築住宅に対する不動産取得税:一般住宅の評価額控除額1,200万円に対し、長期優良住宅は1,300万円まで控除。
- 家の固定資産税額が半額となる期間:戸建一般住宅の3年間に対し、長期優良住宅は5年間。
記事下に、関係官庁の住宅税制参考サイトを掲載しています。新型コロナウイルス感染拡大で低迷する住宅需要を回復するため、減税期間延長等の発表が続いていますので、直近の情報をご確認の上、補助金制度の情報とあわせご活用ください。
固定資産税評価額を基準に課税される税金
固定資産税評価額を基準に課税される税金は以下の通りです。
- 固定資産税:固定資産税評価額×1.4%で計算。
- 不動産取得税:家や土地を取得したときに1回限り課税される。
- 登録免許税:登記に際しての固定資産税評価額をもとに計算される。
固定資産税評価額の算出
地方自治体が、独自に、総務大臣が定めた『固定資産評価基準』により評価、決定した価格が固定資産税評価額になります。
土地であれば、土地の時価の60%-70%が固定資産税評価額の目安、建物の場合は、新築時は請負工事金額の約50~60%が目安といわれています。
家の規模・構造、築年数等により、評価額が違ってきますが、新・増築家屋を除き、原則として固定資産課税台帳に登録されている価格となります。
出典:東京都主計局ホームページ
不動産取得税(地方税)
不動産取得時に課せられる税金で、税率は4%。ただし、土地・住宅の取得に適用される税率は、2021年3月31日まで、税率を3%とする特例措置がとられています。
新築住宅に対する不動産取得税軽減税率
不動産取得税額=固定資産税評価額×税率
一般住宅・低炭素住宅 注3 | 長期優良住宅(長寿命型)注3 | |
税 率 | 税率4%⇒3% 注1 | 税率4%⇒3% 注1 |
控除額 | 1,200万円 | 1,300万円 注2 |
軽減額 | 最大 36万円 | 最大 39万円 |
注1:2021年3月31日まで、税率を3%とする特例措置。
2021年3月31日までに宅地等(宅地及び宅地評価された土地)を取得した場合、取得した宅地の課税標準額は1/2とする。
注2:長期優良住宅認定住宅。不動産取得税の特例適用期限は2020年3月31日。不動産取得税の控除額が1,200万円から1,300万円に増額されます。
注3:低炭素住宅・長期優良住宅の定義は、地域型住宅グリーン化事業をご参照ください。
登録免許税(国税)
登録免許税額=固定資産税評価額×税率
標準税率 | 一般住宅 軽減税率 |
低炭素住宅 軽減税率 |
長期優良住宅 軽減税率 |
|
所有権保存登記 (新築住宅建築) |
.0.4% | 0.15% | 0.1% | 0.1% |
抵当権設定登記 (住宅ローン等 |
0.4% | 0.1% | 0.1% | 0.1% |
所有権移転登記 (土地・中古住宅売買) |
2% | 0.3% | 0.1% | 0.2%(戸建) |
軽減税率適用期間が2年延長となり、令和4年3月31日までに取得した住宅が対象となります。
登録免許税 主な要件
固定資産(地方税)
固定資産税=固定資産税評価額×1.4%
長期優良住宅であれば、家の固定資産税が半額になる期間が5年間になります。
一般住宅・低炭素住宅 | 長期優良住宅 | |
新築 戸建 | 固定資産税額x1/2 3年間 | 固定資産税額x1/2 5年間 |
各自治体によっては、さらに優遇措置を設けている場合もあります。住宅取得前に必ず自治体ホームページをチェックし、地元の業者さんから情報を入手しておきましょう。
新築住宅 固定資産税減額の認可条件
- 適用期間:2020年3月31日までに新築された住宅。
- 住宅の居住部分床面積が50平米以上、280平米以下。
所得税
住宅ローン減税
個人による住宅の取得を支援し、その促進を図るため、個人が住宅を新築する費用、及びその敷地取得に係る毎年の住宅ローン残高の1%を、最大13年間にわたり、所得税から控除する制度。所得税から控除しきれない場合には、翌年の住民税からも一部控除となります。
一般住宅 | 低炭素住宅 | 長期優良住宅 | |
控除期間[注1] | 13年間 | 13年間 | 13年間 |
控除対象借入限度額 | 4,000万円 | 5,000万円 | 5,000万円 |
控除率[注2] | 1.0% | 1.0% | 1.0% |
最大控除額 | 480万円 | 600万円 | 600万円 |
新型コロナウイルス感染症の影響で入居が遅れた場合、注文住宅が2020年9月末、分譲住宅等は2020年11月末までに契約し、2021年中に入居すれば控除期間は13年間。
控除期間を13年間に延長する特例:消費税率10%で住宅の取得等をした場合、11年目~13年目までの控除限度額は以下1、2のうち、少ない方の金額が控除される。
- 住宅ローン年末残高(上限4000万円:長期優良住宅・低炭素住宅は上限5000万円)の1%。
- 建物の取得価格(上限4000万円:長期優良住宅・低炭素住宅は上限5000万円)の2%÷3年
新型コロナウィルス感染症対応:控除期間13年延長特例の入居期間を延長
入居が期限(令和2年12月31日)に遅れた場合でも、以下の要件を満たした上で令和3年12月31日までに入居すれば、特例措置の対象となります。
[1]一定の期日までに契約が行われていること。
・ 注文住宅を新築する場合:令和2年9月末
・ 分譲住宅・既存住宅を取得する場合、増改築等をする場合:令和2年11月末
[2]新型コロナウイルス感染症の影響によって、注文住宅、分譲住宅、既存住宅又は増改築等を行った住宅への入居が遅れたこと。 国土交通省プレスリリース
住宅ローン控除の主な要件
自己資本(投資型)減税
住宅ローンなし。自己資金により住宅を取得・改修した場合、優遇制度は以下となります。
性能強化のための費用負担(最大650万円)の10%、最大65万円が、その年の所得税から減税されます。
一般住宅 | 低炭素住宅 | 長期優良住宅 | |
性能強化費用相当額 上限 注1 | ー | 650万円 | 650万円 |
最大減税額 | ー | 65万円 | 65万円 |
主な要件
参考リンクをはっておきますので、住宅建設業者のご担当の方にご相談の上、それぞれの現状にあわせ、最適、かつ、堅実なファイナンスプランニングをしてください。
- 総務省 住宅ローン控除
- 国土交通省 住宅ローン減税
- 国税庁 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
- 国土交通省 長期優良住宅に対する税の特例
- 国土交通省 認定低炭素住宅に対する税の特例
印紙税(国税)
売買契約書や、ローン契約書作成時に、契約書記載金額により印紙税額が決まります。 収入印紙を契約書に貼付・印鑑を押し納税。
「売買契約書」や「工事請負契約書」については軽減措置がとられています。 詳細は国税省のホームページをご覧ください
消費税
消費税額=建物の販売価格× 10%(土地は非課税)
住宅取得等のための資金に係る贈与税非課税措置
父母や祖父母などより、ご自身が住まう住宅新築や住宅取得、又は、増改築等のための資金を贈与により受けた場合、一定額までの贈与につき、贈与税が非課税となる制度です。令和3年度の贈与税非課税枠は、一般住宅が700万円、省エネ住宅は1200万円となります。

出典:国土交通省ホームページ
詳しくは国土交通省の資料をご参照ください。
住宅税制参考サイト
最後に、住宅税制の参考となるサイトを掲載しておきます。
- 国土交通省HP 平成31年度税制改正
- 国土交通省HP 住宅の取得に利用可能な税制特例
- 国税庁HP マイホームの取得や増改築などしたとき
- 財務省HP 各年度別の税制改正の内容
- 東京主計局HP 不動産取得税
- すまい給付金 国土交通省のHP