経済産業省・国土交通省・環境省の3省からZEH(ゼッチ)補助金、次世代ZEH+補助金、LCCM住宅補助金について令和3年度(2021年度)の資料が更新され、補助金情報がアップされています。
2021年度の該当部分をアップデートしました。今期の情報開示が進み次第、漸次、更新してゆきますので、ご参照ください。
政策目標:2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す
自然環境を守る省CO2・省エネ機能を備え、冬暖かく夏涼しい、部屋ごとの温度差のない快適な住環境を備えた健康住宅に住みたい。安心して住まえる耐震性の高い家に住みたい。これは、家づくりを考えている方々に共通したお望みだと思います。
地球温暖化対策の一環として、住宅部門からのCO2排出量を削減し、創エネ・省エネを目指す住宅のZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化事業は、2050年カーボンニュートラル実現、脱炭素社会の実現に向けた重要なテーマのひとつに位置付けられています。
ZEH普及政策は令和3年度から、2030年目標実現に向けた新たなフェーズに入りました。

【2021年度】ZEH・ZEH+・次世代ZEH+・LCCM住宅補助金
自然災害が相次ぐ昨今、停電時に、夜間でも電気を使う生活を可能にしてくれる蓄電装置を搭載した次世代ZEHへの関心が高まっています。
下表は、令和3年度の経済産業省・国土交通省・環境省3省による連携事業の概要を抜粋し、まとめたものです。個人対象の戸建住宅にポイントを絞り、漸次、情報をアップデートしてゆきます。
サステナブル建築物等先導事業 | 地域型住宅 グリーン化事業 |
次世代ZEH+ 実証事業※ | ZEH+ ※ ZEH化支援事業 | ZEH化支援事業※ | 先進的再エネ熱等導入支援事業 |
LCCM(life cycle carbon minus)住宅:建築から解体再利用まで住宅のライフサイクルを通じたCO2排出量をマイナスにする住宅。 | ZEH経験の乏しい中小工務店等による木造戸建 ZEH(ゼッチ)住宅。net Zero Energy House |
次世代ZEH+ 需給一体型ZEH+住宅に再エネなどの更なる自家消費の拡大を目指した住宅が次世代ZEH+ |
ZEH+(ゼッチプラス)
再エネなどの更なる自家消費拡大を図り需給一体型を目指したより高性能な住宅がZEH+ |
ZEH(ゼッチ)net Zero Energy House
年間一次エネルギー消費量の収支がゼロとなることを目指した住宅 |
ZEH支援事業 ZEH+実証事業のいずれかの交付決定を受けた補助対象戸建住宅で併願申請可 |
国土交通省 | 国土交通省 | 経済産業省 | 環境省 | 環境省 | 環境省 |
上限125万円/戸 |
上限140万円/戸 | 定額105万円/戸 | 定額105万円/戸 | 定額60万円/戸 | 併願対象 ※ 最大 90万円 |

出典:令和 3年度 3省連携事業 ZEHの推進に向けた取り組み
【令和3年度】地域型住宅グリーン化事業の募集が始まりました!
補助金種類と補助金限度額
支援対象となる木造住宅 | 建築物種類 | 補助金上限額 |
長寿命型(長期優良住宅) | 新築 | 110万円 /戸 等 [注1] |
高度省エネ型(認定低炭素住宅、性能向上計画認定住宅) | 新築 | 70万円 /戸 |
ゼロ・エネルギー住宅型(ZEH:新築及び改修) | 新築及び改修 | 140万円 /戸 等 [注2] |
省エネ改修型(省エネ性能が一定度向上する断熱改修) | 改修 | 50万円 /戸 |
優良建築物型(認定低炭素建築物など) | 新築 | 1万円 /㎡(床面積) |
[注1]: 1次エネルギー消費量が省エネ基準△20%となる場合、30万円/戸 補助限度額引き上げ
[注2]:寒冷地・低日射地域・多雪地域は Nearly ZEH補助対象
住宅新築に対する加算措置
- 地域材加算限度額:20万円 /戸 ⇒ 主要構造材の過半に地域材を使用する場合。
- 三世代同居加算限度額:30万円 /戸 ⇒ 玄関・キッチン・浴室・トイレのいずれかを2つ以上、複数箇所設置する場合。
- 若者・子育て世帯加算限度額:30万円 /戸 ⇒ 40歳未満の世帯、または、18歳未満の子を有する世帯。
応募期間
- 応募期間:令和3年4月1日〜令和3年5月10日(月)17時まで
- 採択通知発出日(予定):令和3年6月10日(木)
応募方法
- 応募方法: 地域型住宅グリーン化事業 電子申請システムにより応募
【2021年度】ZEH、ZEH+、次世代ZEH+ 最新情報
令和3年度 ZEH、ZEH+、次世代ZEH+ 補助金額の違いは?
ZEH・ZEH+・次世代ZEH補助金、公募期間/方法等詳細についてはこちらの記事をご参照下さい。

参考:【2020年度】LCCM補助金の概要(戸建住宅・LCCM住宅部門)
戸建住宅・LCCM 住宅部門 補助金 | 補 助 率:補助対象費用の 1/2 補助限度額:上限125万円/戸 補助対象とするそれぞれ住宅において、設計内容に応じ、所定の方法で補助対象工事に関する掛かり増し費用を算出、補助金を申請する必要がある。各住宅における補助額は、算定した補助額と1戸あたりの補助限度額である125万円のいずれか低い額。 |
応募期間 | 令和2年4月14日(火)~ 令和2年5月29日(金) |
提案者 | LCCM住宅部門では、原則、事業者一社ごとに応募(1法人1提案) |
対象となる住宅要件 | ・常時居住する戸建専用住宅 ・採択された事業者が一般消費者に引き渡す戸建住宅で(採択された事業者が宅建事業者等へ引き渡す住宅は対象外) |
主な事業要件 | 以下①~③のすべての要件を満たす戸建住宅を新築する事業であること ① ライフサイクル CO2(LCCO2)の評価※1結果が0以下となるもの ② ZEH の要件※2を満たすもの ③ 住宅としての品質が確保※3されたもの |
出典:国土交通省PDF
※1 CASBEE-戸建(新築)2018 年版による LCCO2 の算定、または「LCCM 住宅部門の基本要件(LCCO2)適合判定ツール」による LCCO2 の算定。 LCCO2(ライフサイクルCO2):建築から解体まで建築物のライフサイクルで使う資材・エネルギーをCO2排出量に換算、加算したもの
※2 ZEH の要件は ZEH ロードマップフォローアップ委員会において定義された外皮性能、一次エネルギー消費性能を満足するもの(Nearly ZEH、ZEH Oriented は含まない)
※3 CASBEE の B+ランクまたは同等以上の性能を有するもの(ただし、長期優良住宅認定されたものはこの限りでは無い)。CASBEEについては、次章で説明しています。
※4 提案応募にあたっては、代表的な戸建住宅プラン(モデルプラン)にて LCCO2 の評価結果が 0 以下となること及び ZEH 要件を満たすこと等を提案。
LCCM住宅(ライフサイクルカーボンマイナス住宅)とは?
ZEHのその先にあるとされているのが、LCCM住宅。太陽光発電システムを更に充実させたり、地元の木材を積極的に活用するなどを通して「住宅の生涯」に関わるCO2をゼロ以下にします。

国土交通省 住宅局資料(平成31年3月)
LCCM住宅のマニュアル・様式など関係資料が一般社団法人 環境共生住宅推進協議会ホームページ、国土交通省より、公表されました。参考程度に目を通してみてはいかがでしょうか。
新しい名称やレイティングがでてきますので、簡単にまとめてみました。
LCCM住宅の応募要件 CASBEE B+って、どういう意味?
LCCM住宅の応募要件に『CASBEE B+ランク以上または、長期優良住宅認定』とありますが、CASBEE って、一体、何でしょう?また、キャスビーB+ というレイティングもあるし? 調べてみました。
CASBEE(キャスビー)とは
Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency。邦文名は建築環境総合性能評価システム。建築物を環境性能で評価し格付けする手法で、省エネ・環境負荷の少ない資機材を使用する等、環境への配慮・室内環境の快適性・景観への配慮等を含んだ総合的な建物の品質を評価するシステムです。
CASBEEは2001年4月に発足した国土交通省住宅局支援による産官学共同プロジェクト。建築物の総合的環境評価研究委員会を設立し、同委員会・及び・傘下小委員会が、研究開発と運営に当たっています。
CASBEEの目的:建築物の環境に対する様々な側面を客観的に評価。
-
- 建築物のライフサイクルを通じた評価。
- 建築物の環境品質(Q)と、建築物の環境負荷(L)の両側面から評価 。
- 環境効率の考え方を用いて、新たに開発された評価指標「BEE(建築物の環境性能効率、Built Environment Efficiency)」で評価。
評価結果は、5段階ランキングとして表示されます。
BEE(Build Environment Efficiency)とは
建築物の環境性能効率(BEE)=Q(建築物の環境品質)÷ L(建築物の環境負荷)
下表では、B- が一般の建物。A がサステナブルと評価される建物。
Q値が高く、L値が低い程、傾きが大きく、よりサステナブルな性向の建築物と評価。この手法を使う事で、建築物の環境評価結果をランキングすることが可能となる。グラフ上では建築物の評価結果をBEE 値が増加するにつれて、Cランク(劣っている)からB-ランク、B+ランク、Aランク、Sランク(大変優れている)としてランキングされる。
ライフサイクルCO2排出率によるランク(温暖化影響チャート)

出典:IBEC ホームページ
LCCM認定取得住宅の具体例:CASBEE

引用元:IBECホームページ(LCCM住宅認定取得住宅一覧)
CASBEE: Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency (建築環境総合性能評価システム)
- 2-1 : 戸建の環境効率(BEEランク&チャート) Sランク ★★★★★(大変優れている)
- 2-2 : ライフサイクルCO2(温暖化影響チャート)ランク ☆☆☆☆☆(緑 5つ星)
LCCM住宅関連情報
LCCM(Life Cycle Carbon Minus)住宅、認定基準等につき、新着情報が公開されました。 IBEC 建築省エネ機構ホームページをご参照ください。
LCCM住宅(Life Cycle Carbon Minus)とは
住宅の建設・運用・廃棄までの寿命において、できるだけCO2排出削減に取り組み、更に、太陽光発電などによる再生可能エネルギー創出により、1住宅の生涯でのCO2の収支をマイナスにする住宅のこと。今後の住宅政策の柱の一つとなるものと期待されています。
LCCM住宅認定を行う機関がIBEC
LCCM住宅認定を行うのは、⼀般財団法⼈建築環境・省エネルギー機構IBEC(Institute for Building Environment and Energy Conservation)。IBECでは、LCCM住宅の普及促進に寄与することを目的とし、建築環境総合性能評価システムCASBEEの評価・認証の枠組み等に基づき、LCCM住宅認定を行っています。
LCCM住宅認定の概要
- 対象建築物:新築の一戸建て専用住宅(新築とは竣工後3年以内のものとします)
- 申請者:建築主、設計者、施工者、販売者等
- 審査及び認定の基準:審査は、IBEC内に設置する認定委員会にて行います。
- 認定基準は下記①②のいずれかを満たすものとします。
①CASBEEの戸建評価認証制度に基づき認証された環境効率ランクがSまたはA、ライフサイクルCO2(温暖化影響チャート)ランクが、緑☆☆☆☆☆(5つ星)である住宅。CASBEEの戸建評価認証を受け、認証書が交付されていること。評価書作成者は、IBECに登録されているCASBEE戸建評価員であることが必要。
②国が行うサステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)LCCM住宅部門において、補助金の交付を受けた住宅。
大停電でも困らないスマートハウスとは?
太陽光発電が稼働しない日没後は、電気が使えないというこれまでのZEHが抱える課題を解決するのが、蓄電池搭載により、災害時や大停電時、夜間でも照明や家電が使える高機能のZEH。
ソーラーパネルで太陽光からエネルギーを創り、家庭用蓄電池に蓄え、住宅に必要なエネルギーを無駄なく振り分けるHEMS搭載により、更に、高機能化した住宅。非常時にも昼夜を問わず電力が使用できる防災対策機能を備えた住宅がスマートハウスです。
- 深夜に災害・停電が発生しても、PCやスマホの充電ができ、照明や家電が使える。
- 冬場に災害で停電が発生しても、寒さを回避できる。
- 太陽光発電+蓄電池+HEMSが常識の時代になる。その機能を備えた家。
スマートハウスについてはこちらの記事をご参照ください。

省エネ住宅:住宅性能表示制度の内容に目を通す!
2000年度に施行された住宅の品質確の促進等に関する法律(通称:品確法)は、欠陥住宅などのトラブルを未然に防ぐことを目的としたもので、以下の3つにより構成されています。
- 建築会社に10年間の瑕疵担保責任(基本構造部分)を義務化
- 指定住宅紛争処理機関の創設
- 住宅性能表示制度の創設:新築住宅の場合、以下、10項目。評価機関に評価してもらうもらわないに関わらず、建築業者さんとの話合いの中で必要になってくる知識です。概要をまとめておきます。
- 地震などに対する強さ:耐震等級(構造躯体の倒壊等防止、最大等級3は1.5倍の力に耐える)。耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止:最大等級は2)。耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止、多雪区域のみ、最大等級は2)
- 火災に対する安全性
- 柱や土台などの耐久性
- 配管の清掃や補修のしやすさ、更新対策
- 省エネルギー対策:5-1 温熱環境(断熱等性能等級:最大等級4)、5-2 エネルギー消費量(最大等級5)
- シックハウス対策・換気:6-1 ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等)最大等級3、ホルムアルデヒド発散量が極めて少ない(日本工業規格又は日本農林規格のF☆☆☆☆等級相当以上)、6-2 換気対策、6-3 室内空気の化学物質の濃度等:選択表示事項、建設住宅性能評価のみ
- 窓の面積
- 遮音対策
- 高齢者や障害者への配慮
- 防犯対策
ZEH補助金・LCCM補助金を受け取る:情報収集3つのステップ
企業として新築戸建住宅の見えない部分の品質をどのように管理し、施主の利益を守ってくれるのか。ZEHビルダー選びに際しては、3つのステップが役に立ちます。
ステップ1 資料請求で相場感を得る
希望する注文住宅新築にはどの程度の資金が必要か。まず、相場感覚を掴みましょう。
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気になるハウスメーカー・工務店数社から見積もりとプランを☞ネットで一括お取り寄せできるサービスが便利です。
ZEHビルダーから見積もりとプランをお取り寄せ ☞ZEH住宅特集 |
ステップ2:大切なチェックポイントを質問する
お住まいの地域を施工エリアとするZEHビルダーの中から、気になるハウスメーカーや、地元の工務店、設計会社を選び、Emailで連絡。各社の家づくりについて、個別に問い合わせ。
本サイトの『地域別ZEHビルダー一覧』、『新築注文住宅 ZEH5つ星ビルダー一覧』が便利です。

新築住宅の外観、インテリア、機能性についてはホームページでチェックできます。
ここで、重要なチェックポイントは、企業として新築住宅の見えない部分の品質をどのように管理し、施主の利益を守ってくれるのか。ここになると思います。
・御社の社内品質管理体制や、社内検査体制について説明してもらいたい。
・御社内での検査状況の写真や記録を工事進捗に沿い、報告してもらえるか?
・住宅性能:御社住宅の耐震等級、シックハウス等級、省エネ等級を教えてもらいたい。
・施主として第三者を雇い、インスペクションを希望するが、対応してもらえるか?等
ステップ3:個別相談とモデルハウス見学でZEHビルダーを選ぶ
質問の回答や業者さんの対応をみて、信頼感を持てたZEHビルダーを数社選択。実際に面談。
モデルハウスを訪れ、住環境を体感し、個別面談では、予算と設備仕様など詳細につき希望を伝え、アドバイスを受け調整。見積もりや間取り図を、作成してもらいましょう。
数社との間でこのプロセスを取り、間取り図や見積もり金額を比較。信頼でき、ご家族の希望に最も沿った提案をしてくれた業者さんを選びたいものです。
この3つのステップを踏む事で、施主にとり、初めて納得のゆく建築業者・ZEHビルダーを選ぶ事が可能になるではないでしょうか。
ZEHビルダーとの確認事項
- ZEH公募のタイミングに合わせて申請してもらいたい。
- 着工のタイミングの確認:新築する場合、事前に着工した物件は対象外となります。
- ZEH仕様とするコストの確認:初期費用が嵩みます。追加コストは250~300万円程度といわれています。
ZEH提出書類の作成が心配
提出書類記載事項は非常に複雑ですが、ZEHに必要な計算等はZEHビルダー側がやってくれます。施主は記載事項の説明を受け、納得の上、必要な署名・押印をすれば良いので問題ありません。