蓄エネ機能を備えたZEH+R注文住宅で環境問題に立ち向かう！その費用対効果は？

この秋、猛威をふるった大型台風。電柱が次々と倒壊、大型規模の長期停電が起き、地球温暖化の影響が顕在化しています。

これから家を建てる皆様は、ZEH＋Rを検討してみませんか？この記事では、蓄電池・エネルギーを管理するHEMSを備えた注文住宅新築のメリットとデメリットにつき、考察して参ります。

蓄電を可能にしたリチウムイオン電池

まずは、環境問題への危機感と、リチウム電池の地球環境問題への利用について、リチウム電池の研究・開発・商品化を通じ、ノーベル化学賞の受賞を受賞された旭化成 名誉フェロー、吉野彰さんのお話しがありましたので、抜粋します。

吉野さん：電気をためられますので、夜もエネルギーを、いったん電気という形でためられるわけですよ。必要なときに必要なところに供給する。

まさに、もし災害が起こったら、緊急時にそこから電気を取って最低限必要な電力を取る。宇宙船も多分一緒だと思うんですけどね。そういう機能を持っていますので、これは何を意味するかといいますと、今、大きな課題になっています、地球環境問題。

これもまさにエネルギーを、どううまく生み出して、どううまく有効に使うかということですよね。そういうときに、リチウムイオン電池が非常に大きく、ＩＴ革命で１つ貢献しました、次はこっちで貢献しなさいよと。これは実は、ストックホルムも今回の私の受賞の理由として、２つ挙げてるんですよね。

武田：ノーベル委員会も、化石燃料が不要になる社会を実現する可能性を開いたとおっしゃっていますが、まさに吉野さんの電池によって新しい時代が開ける可能性もありますか。

吉野さん：あると思います。そのためにリチウムイオン電池も、もっともっと性能を上げる努力も当然必要なんですけど、電気をためるというのは、今の地球環境問題に対して答えを出す、１つの大きな武器になると思います。

引用元：NHKクローズアップ現代　公式サイト　太字は筆者挿入

台風15号の長期停電で大活躍した蓄電池

避難所となった千葉県鋸南町（きょなんまち）の小学校。地域全体が停電に見舞われる中、太陽光パネルから発電した電気を蓄えていたおかげで、避難者の携帯電話への充電を含め、５日間、電源を確保。非常時災害時に、蓄電システムの必要性を証明した事例として、報道されています。

台風15号による長期化した停電被害で 鋸南町立鋸南小学校へ設置した蓄電池付太陽光発電システム活躍。 避難場所に「蓄電池付太陽光発電」の重要性を再認識 - スマートソーラー株式会社

関東上陸した台風では、最大級の台風15号による千葉県内の大規模停電が長期化している。台風は千葉市付近に上陸。被害が甚大であった千葉県鋸南町にある鋸南小学校では、スマートソーラー株式会社が設置した蓄電池付太陽光発電システムが停電時の非常電源として活躍した。

www.smartsolar.co.jp

ZEH＋Rに使われる蓄電設備とは？

発電した電気を充電して貯めることができて、必要な時に電気を供給することができる電池が蓄電池。二次電池とか、バッテリーとも呼ばれています。蓄電池は、充電により、何度も使用でき、家庭用にはリチウムイオン電池が適しています。

東日本大震災を機に、防災対策としてコンパクトな4〜9kWの容量の家庭用蓄電池を導入するご家庭が増えている様です。

リチウムイオン電池の特徴

小型で、大容量の電気を充電可能。充電・放電を繰り返しても劣化しにくく、メーカー無料保証10年が一般的です。因みに、Sii登録商品の登録上保証期間は全製品15年となっています。（下表ご参照）

小型・軽量・長寿命・充電時間も短いリチウムイオン蓄電池が、家庭用蓄電池には最適ですが、価格相場が高く、導入がなかなか、進んでいません。

初期投資費用が嵩む

現状のデメリットは価格です。経済産業省の資料では、家庭用蓄電池の価格目標を、2015年度実績 約22万円/kWhから、2019年度 9万円/kWh以下を目指しているので、今後、蓄電池の価格低下が期待されます。

蓄電池を設置するメリットは？

太陽光発電設置した住宅が、停電時、電気が使えるのは太陽が出ている日中だけです。夜間は停電状態で電気は使えません。

ZEH+R住宅（ZEHレジリエンス強化事業）や、LCCM（Life Cycle Carbon Minus）住宅の様に、太陽光発電による創電に、蓄電池を設置し蓄電設備を整えれば、昼間、発電した電気を充電しておけるので、停電時、夜間でも電気機器を使うことができます。ZEH+R住宅・LCCM住宅は停電や災害に強い家と言えます。

♠　ZEH+R住宅・LCCM住宅はこちらの記事⇓⇓をご参照下さい。

【2024年度】 ZEH補助金・LCCM補助金制度

住宅部門からのCO２排出量削減は、2050年カーボンニュートラルの実現、脱炭素社会実現に向けた重要なテーマのひとつとなっています。「住宅の生涯」に関わるCO2排出量をマイナスとするLCCM住宅整備推進事業、停電時に夜間でも電気を使う生活を可...

www.yume-wagaya.com

2024.04.14

蓄電池と合わせ、夜間電気を併用すれば、電気代の安い夜に蓄電池を充電、より効率的に蓄電設備を利用し、電気代を節約できます。

蓄電設備設置は、補助金で賄えますか？

ZEHレジリエンス強化事業 補助金額は？

停電時にも、日夜を問わずに、自立可能な蓄電池などを備え、レジリエンスを強化した住宅がZEH+Rです。

サステナブル建築物等先導事業 補助金額は？

建設・運用・廃棄までの住宅寿命を通じ、CO2排出削減に取り組み、再生可能エネルギー創出により、一住宅の生涯でのCO2収支をマイナスにする住宅がLCCM、ライフサイクルカーボンマイナス住宅です。

参考　ZEH/LCCM　補助金一覧表

出典：2019年度、３省連携事業 ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの推進に向けた取り組み
※1 事前枠付与方式：事業者は建築予定戸数を提案、採択された戸数範囲内で要件を満たす住宅に対し補助を受ける方式
※2 LCCO2：建築から解体まで建築物のライフサイクルで使う資材・エネルギーをCO2排出量に換算、加算したもの

補助金制度を利用して、創電・蓄電設備を設置！

多くの方が4〜9kWhの蓄電池を購入し、一般家庭用蓄電池の費用相場は、工事費等込みで100万円～250万円と言われています。

一般社団法人　環境共創イニシアチブ(Sii)に登録している蓄電システム製品一覧表から、価格体系を明記してくれている京セラのカタログを使い、リチウム蓄電システムを搭載する初期投入コストを試算してみました。

京セラリチウム蓄電システムのコストを試算してみると・・

出典：京セラ公式サイト

•  蓄電池を設置する際には、本体価格の他、設置工事等費用も掛かります。
• 太陽光発電システムでは、停電時にパワーコンディショナを自立運転機能に切り替えることで、太陽光によって発電された電気を非常用電源とすることができます。
• 実績はもちろん、今後もしっかりサポートをしてくれるかどうか、メーカーとしての信頼性が最後の決め手ですね。

蓄電設備自己負担額は？設置費用概算と補助金を比較してみました

太陽光発電と蓄電池を一緒に設置する場合、3.2kWhの場合ですと

1. 蓄電池設置費用は、工事費込み約200万円。
2. 太陽光発電パネル設置費用が200万円程度必要です。

ZEH+R補助金額は
定額125万円/戸＋蓄電システム補助 ２万円/kWh（3.2kWh→6.4万円）

自己負担は、270万円程度と試算されます。

注：LCCM補助金は、太陽光発電量　7.0〜8.0kW程度が必要となるのでコストは更に300万円程度、膨らみます。補助金は最大125万円ですから、自己負担は570万円前後と試算されます。

耐用年数

太陽光パネル：設置後、10年以上交換せずに使用可能。

蓄電池：充電と放電を繰り返すため、劣化に伴い交換が必要。サイクルは、リチウムイオン電池の場合、10年程度と言われています。

Image by Pexels

設置場所は？

家庭用蓄電池、かなり小型化しています。かさばらずに、室内におけるので耐久性の面からも便利になっています。

ZEH+Rの注文住宅を建てたい！

ZEH+R 注文住宅、優良注文住宅建築会社から、オリジナルな見積もりを取り寄せる事ができます。蓄電池に関するご希望事項を明記し、資料を取り寄せる便利なサービスがこちらです。

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Sii登録済み　蓄電システム製品一覧表

最後に、一般社団法人　環境共創イニシアチブ(Sii)に登録している蓄電システム製品一覧表を作成しました。ご利用になって下さい。

出典：SII公式ページ

まとめ

蓄電池設置は、日々の電気代の節約になることはもちろんですが、災害時には非常電源として、昼夜、必要な電気を賄う事ができるという大きな魅力があり、災害の多い日本では、生活必需品となりつつあります。

今回の試算で、自己負担は、270万円程度となりました。初期投資資金を補うための補助金制度が充実し、家庭用蓄電池の価格目標が年々下げられているため、今後は試算よりも低価格で設置することができるのではと期待しています。蓄電設備を住宅新築時に設置することで、災害・停電時の不安を減らし、安心して暮らせる生活環境を構築できるのではないでしょうか。

ZEH+Rで停電時にも自立可能な家づくり。そのためには

1. 太陽光発電等による 創エネ:太陽光パネル
2. 創り出した電力を蓄える 蓄エネ:蓄電池
3. 家電の消費電力を制御する省エネ:HEMSが必要です。

1. 1. 1. 

         創エネは、太陽のエネルギーを受け取れる昼間だけ発電・利用できますが、肝心の日没後は電気を使えません。蓄エネ機能を加え、連携させることで、はじめて、夜も効果的に電気を使える環境が、整います。